先日、友人から聞いた話です。
転職活動をしていた彼女は、転職エージェント経由で応募した病院から内定をもらいました。
でも、面接を受けたあとから何となく違和感があって。
担当のエージェントに「内定を辞退したい」と伝えたところ、返ってきたのは想像していなかった言葉でした。
「それはわがままですよ」
「せっかく内定をもらったのに」
「こんな条件、なかなかないですよ」
──そう言われて、彼女は結局そのまま就職を決めたといいます。
内定を辞退するって、そんなに悪いことなんだろうか。
それとも、「辞退していい」ということ自体を知らない人が多いのかもしれない。
もしかしたら今この記事を読んでいるあなたも、同じように悩んでいるかもしれません。
この記事では、内定辞退に罪悪感を感じているあなたが、「自分で判断していい」と思えるようになるための考え方をお伝えします。
辞退を勧めるわけでも、受けることを勧めるわけでもありません。
ただ、納得して決められる状態になってほしいんです。
それが、転職が成功したといえる根拠にもなります。
内定辞退は「してもいい」のが前提
真彩まず、内定辞退は、法律的にも問題ありません。
内定は「約束」だけど、「絶対」ではない
内定というのは、法律的には「雇用契約の予約」に近いものです。
つまり、正式に入職する前の段階では、あなたにも病院側にも「やっぱりやめます」と言う権利があるんです。
もちろん、相手に迷惑をかけないように配慮は必要です。
でも、辞退そのものが違法でも非常識でもありません。
「知らなかった」という人もいると思います。
それは当たり前です。
とくに初めての転職なら、誰だってそうです。
大切なのは、「内定を辞退してもいい」という選択肢があることを、まず知ること。
そこからがスタートです。
なぜ転職エージェントは内定辞退を嫌がるのか
成果報酬型ビジネスの構造
転職エージェントは、ボランティアではなくビジネスです。
そして多くの場合、成果報酬型──つまり、あなたが実際に入職して初めて、病院側から報酬を受け取る仕組みになっています。
ということは、エージェント側から見れば「内定=ゴール」ではなく、「入職=ゴール」なんです。
だから、内定をもらった人が辞退を申し出ると、エージェント側としては
「せっかくここまで来たのに」
「もったいない」という気持ちになる。
それが、ときに「わがまま」という言葉として出てしまうこともあるのかもしれません。
エージェントの担当者も、ノルマや目標を抱えている一人の社会人です。
「今月あと1件決めたい」「この案件、うまくいかせたい」
──そういうプレッシャーの中で働いている人もいます。
立場が違えば、見えている景色も違うのです。
あなたのことを思って止めている場合もある
ただし、すべてのエージェントが「成約のため」だけで引き止めているわけではありません。
中には、あなたのポテンシャルや転職市場の状況を見て、本当に心配して言っている場合もあります。
「この条件で辞退したら、次に同等の求人が見つかるのは難しいかもしれない」
「あなたの経験年数だと、選択肢は限られている」
──そう判断して、慎重になるよう促しているケースです。
だからこそ、エージェントに引き止められたときは、一度立ち止まって考えてみる価値があります。
・なぜ引き止めているのか、理由を具体的に聞いてみる
・自分の市場価値や選択肢の広さを冷静に確認する
・その上で、それでも違和感があるなら辞退を検討する
エージェントの言葉を鵜呑みにする必要はありませんが、完全に無視する必要もありません。
それでも「辞退=悪」と思ってしまうのはなぜか
エージェントの言葉を疑えない心理
エージェントの仕組みを理解しても、「我儘」と言われたら揺らいでしまう。
それはなぜでしょうか。
一つは、相手が「プロ」だから、正しいと思ってしまうという心理です。
転職のことをよく知っているエージェントが言うんだから、自分の判断より専門家の意見を優先したほうがいいんじゃないか
──そう考えてしまうのは自然なことです。
でも、エージェントもビジネスです。
完全に中立ではありません。
あなたの納得よりも、成約を優先する場面もある。
それを知っておくだけで、少し冷静になれます。
担当や会社を変えることも選択肢の一つ
もしあなたの担当エージェントとのやり取りに違和感があるなら、担当を変えてもらうか、別のエージェント会社を利用することもできます。



複数社を併用する方法もありますよ!
転職エージェントにもいろいろな担当者がいて、相性もあります。
あなたの不安に寄り添ってくれる人もいれば、どうしてもテンポや価値観が合わない人もいる。
それは仕方のないことです。
良いエージェントはこんな対応をしてくれる!
・あなたの不安や迷いを否定せず、一緒に考えてくれる
・辞退したい理由を整理する手伝いをしてくれる
・「納得して決めること」を大切にしてくれる
「この人とは合わないかも」と感じたら、遠慮なく担当変更を申し出ていいんです。
エージェント会社も、複数利用して比較することができます。
転職エージェントの仕組みや上手な付き合い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「我儘」と感じてしまうのは、あなたの性格のせいじゃない
もしかして、こんなふうに思っていませんか?
・「自分が我慢すればいいのでは」
・「迷惑をかけたくない」
・「断るのが申し訳ない」
それ、あなたが弱いからじゃないんです。
真面目だから、悩んでいるんです。
よくある心理傾向
内定辞退をためらう人には、いくつか共通する傾向があります。
・周囲に合わせてしまう
・自分の希望を後回しにしがち
・波風を立てたくない
・「こんなことで悩むのは自分だけかも」と思いがち
でも、これって臨床検査技師として働いてきた人には、すごくよくある感覚なんです。
現場では協調性が求められる。
患者さんや医師、看護師との関係を大切にする。
自分の意見より、チーム全体のことを考える
──そういう働き方をしてきたからこそ、「自分の意思を優先していいのか」と迷ってしまうんだと思います。
初めての転職だから、不安になるのは当たり前
それに、転職活動って初めての人にとっては未知の世界です。
・内定辞退がどういう扱いになるのか分からない
・判断材料が少なくて、何を基準に決めればいいか分からない
・「これでいいのかな」という不安が常にある
そういう状態で「我儘ですよ」と言われたら、「やっぱり自分が間違っていたのか」と思ってしまうのも無理はありません。
でも、それはあなたが弱いからではなく、情報や経験が足りないだけです。
そして、それは誰だって通る道です。
内定を辞退したほうがいいケース/慎重に考えたいケース
じゃあ、実際に内定をもらったとき、どう判断すればいいんでしょうか。
辞退を考えていいサイン
こんなふうに感じているなら、辞退も選択肢のひとつです。
面接のときと話が違う



この年収だから良いと思ったのに…
たとえば「残業はほとんどない」と聞いていたのに、入職前の説明で「月20時間くらいはある」と言われた。
条件面談で聞いた年収と、実際の提示額が違った。
こういうズレがある場合は、立ち止まって考えていいタイミングです。
労働条件に納得できない



やっぱりこの休日数では体力的にムリかも…
給与、勤務時間、夜勤の有無、休日数──どれか一つでも「これはちょっと…」と思うものがあるなら、無理に進める必要はありません。
入職してから「やっぱり無理だった」となるほうが、あなたにとっても病院にとってもつらいことです。
不安が時間とともに強くなる



私、ほんとうにこの業務内容でやっていける?
内定をもらった直後は嬉しかったけど、日が経つにつれて「本当にこれでいいのかな」という気持ちが大きくなる。
それは、心のどこかで「何かが違う」と感じているサインかもしれません。
立ち止まって考えたいサイン
逆に、こんな状態なら少し冷静になってみてもいいかもしれません。
条件は悪くないけど、漠然と怖いだけ
「新しい環境が不安」「人間関係がうまくいくか分からない」──それは誰だって感じることです。
その不安が「この職場特有の問題」なのか、「どこに行っても感じる不安」なのか、一度整理してみると見えてくるものがあります。



入職してみたら意外と大丈夫なことはよくありますよね!
比較対象が多すぎて混乱している
複数の内定をもらって、どれがいいか分からなくなっている。
そういうときは、「何を一番大切にしたいか」を紙に書き出してみるのもひとつの方法です。
年収? 通勤時間? 夜勤の有無? 職場の雰囲気?
優先順位がはっきりすると、判断しやすくなります。



転職を決めた理由を思い出して!
内定辞退は「我儘」ではない
ここまで読んで、もしかしたら「じゃあ結局どうすればいいの?」と思っているかもしれません。
でも、私がこの記事で一番伝えたいのは、「辞退すべき」でも「受けるべき」でもなく、こういうことです。
我慢して入職したほうが、結果的につらくなることだってあります。
逆に、少し不安があっても入職してみたら意外とうまくいった、ということもあります。
大切なのは、納得して決めたかどうかです。
「エージェントに言われたから」
「断りづらかったから」
「他に選択肢がなかったから」
ではなく、「自分で考えて、これでいいと思った」と言えるかどうか。
それが、転職を成功させるための一番の基準だと、私は思います。
まとめ|内定を受けるかどうかを決めるのは、あなた
ここまで友人の話をベースに書いてきましたが、正直に言うと、私自身は転職エージェントを何度も利用してきて、こういう言い方をされた経験はありません。
多くのエージェントは、親身に相談に乗ってくれます。
ただ、友人のような経験をした人が実際にいるのも事実です。
だからこそ、知っておいてほしいんです。
内定を辞退してもいい。
受けてもいい。
迷ってもいい。
どれも、間違いじゃありません。
転職エージェントは、あなたの転職をサポートしてくれる存在です。
でも、あなたの人生を決めるのは、あなた自身です
もし今、内定を辞退しようか迷っているなら。
もし、「受けなきゃいけない」と思い込んでいるなら。
一度立ち止まって、こう問いかけてみてください。
「これは、自分が納得できる選択だろうか」
その答えが見つかったとき、あなたはきっと、自分で判断できる状態になっています。

