転職と聞くと、「年収アップ」を連想する人は多いでしょう。
実際、給料が上がるのは理想的です。でも、現実には「年収が下がる転職」も存在します。
私自身、転職で一度年収が下がった経験があります。
それでも、今振り返って「失敗だった」とは思っていません。
むしろ、あの転職があったからこそ、今の自分があると感じています。
この記事では、なぜそう言えるのか、実体験をもとに整理していきます。
転職したら年収は上がるべき?【大前提の話】
まず最初に言っておきたいのは、年収アップ自体を否定するつもりは全くないということです。
むしろ、年収は「目指すべきもの」だと思っています。
生活がかかっていますし、将来のことを考えれば、収入が増えるに越したことはありません。
それは当然のことです。
ただし、「順番」を間違えると苦しくなります。
年収を上げることだけにフォーカスして、自分の状態を無視した転職をしてしまうと、後で取り返しのつかないことになるかもしれません。
この記事で伝えたいのは、年収至上主義ではないけれど、現実逃避でもない立場です。
年収は大事。
でも、それがすべてではない。
そのバランスを、自分の体験から語っていきます。
私が転職で年収を下げた理由【体験談】
病院勤務で限界に近づいていた
当時、私は病院で臨床検査技師として働いていました。
忙しさ、体力の消耗、そしてメンタルの削られ方。
日々の業務に追われる中で、自分では気づきにくい変化が起きていました。
後から聞いた話ですが、周囲からは「顔つきがヤバかった」と言われていたそうです。
自分では「まだやれる」「もう少し頑張れる」と思っていても、客観的に見ると明らかに疲弊していたのでしょう。
この状態で年収アップを狙うのは、現実的ではありませんでした。
さらに負荷の高い職場を選んでしまえば、余計に状況は悪化します。
体力とメンタルが限界に近づいているときに、「攻め」の転職をするのは危険だと感じました。
健診メインの職場に転職し、年収は下がった
そこで私が選んだのは、病院から健診中心のクリニックへの転職でした。
年収は下がりました。
でも、その代わりに得たものがありました。
体力的に楽になりました。
時間に余裕が生まれました。
そして何より、気持ちが安定しました。
毎日を「何とかこなす」状態から、「普通に過ごせる」状態へ。
この変化は、数字では測れない価値がありました。
それでも「失敗した」とは思わなかった理由
年収が下がったという事実だけを見れば、「転職に失敗した」と感じる人もいるかもしれません。
でも私自身は、そうは思いませんでした。
理由は明確です。
壊れかけていた自分を立て直せたからです。
毎日を普通に過ごせるようになりました。
そして、「次どうしたいか」を考えられる余裕が戻ってきました。
この余裕がなければ、次のステップなんて考えられません。
あの転職は、長く働き続けるための必要な選択だったと、今でも思っています。
年収が下がっても失敗じゃない3つのケース
ケース①:体力・メンタルが限界だった場合
まず”立て直す”ための転職。
病院勤務などで、長時間労働、夜勤・当直、人手不足による過重業務が続くと、体力だけでなくメンタルも削られていきます。
「まだ働ける」「もう少し頑張れる」と思っていても、周囲から見ると顔つきや雰囲気が明らかに変わっていることも少なくありません。
この状態で年収アップを狙うと、さらに負荷の高い職場を選んでしまったり、転職しても疲弊したままだったりという悪循環に陥りやすくなります。
一度ペースを落とし、体力と気力を回復させる転職は、将来の選択肢を広げるための”必要な一歩”と言えます。
ケース②:時間や生活の余裕を取り戻したい場合
お金より「生活の質」を優先した転職。
年収は上がらなくても、残業が減った、休日がしっかり取れる、家族や自分の時間が増えた。
こうした変化は、数字以上の価値があります。
忙しすぎる環境では、将来のキャリアを考える余裕がなく、勉強やスキルアップも後回しになりがちです。
一度、時間的な余裕を取り戻すことで、勉強する気力が戻り、次のキャリアを冷静に考えられるようになります。
そして、「次は年収も意識した転職をしよう」と前向きになれます。
年収が下がっても、人生全体では前進しているケースです。
ケース③:長く働き続けるための選択だった場合
“今”ではなく”これから”を見据えた転職。
「この働き方、10年後も続けられるだろうか?」
そう感じながら働いている場合、今の年収だけで判断するのは危険です。
体力的に将来が不安、同じ働き方を続けるイメージが持てない、定年までの道筋が見えない。
そんなときは、無理のない働き方、自分に合ったペース、継続できる環境を優先する選択も、立派な戦略です。
年収は一時的に下がっても、長く安定して働ける道を選ぶことは「失敗」ではありません。
大切なのは「一時的な数字」より「順番」
年収が下がったことだけを切り取れば、「失敗した」と感じる人もいるかもしれません。
でも実際には、立て直す、余裕を取り戻す、次のステップを考える、という順番を踏んだ転職であることも多いのです。
年収アップは、目指せる状態になってからでいい。焦る必要はありません。
年収アップを目指していいタイミングとは?
私が「また年収を考えよう」と思えた瞬間
健診中心の職場に移ってしばらく経った頃、ふと気づきました。
元気になっていることに。
仕事を冷静に見られるようになっていました。
「このままでもいい」ではなく、「次はこうしたい」と思えるようになっていたのです。
この変化は、自分でも驚くほど大きなものでした。
余裕があるからこそ、次の目標を考えられる。
その状態になって初めて、「次の転職では年収も考えよう」と思えたのです。
年収アップを考えられる状態の目安
では、年収アップを考えられる状態とは、具体的にどんな状態なのでしょうか。
心身に余裕がある。
転職理由をポジティブに説明できる。
条件を冷静に比較できる。
焦りではなく”選択”として転職を考えられる。
こうした条件が揃っていれば、年収アップを狙う転職も現実的になります。
逆に言えば、これらが揃っていない状態で無理に年収アップを目指すのは、リスクが高いということです。
転職の成功は”数字だけ”で決まらない
年収は大事です。それは間違いありません。
でも、転職の成功・失敗は、それだけでは測れません。
順番を踏めば、年収アップも現実的になります。
自分に合ったタイミングがあるのです。
「年収が下がったから失敗」「上がったから成功」という単純な判断は、危険です。
自分が今どの状態にいるのか、何を目的に転職するのかを整理することが、何より大切です。
まとめ|年収が下がった転職も、次につながるなら失敗じゃない
一度年収が下がる転職は、後退ではありません。
私の場合、立て直しの期間があったからこそ、次を考えられるようになりました。
大事なのは「何を目的に、今どうするか」です。
焦らなくていい。
年収アップは、”目指せる状態”になってからでいい。
転職には「順番」があります。
立て直す転職と、攻める転職。
その両方があっていいのです。
あなたが今、どの段階にいるのか。
それを冷静に見つめることが、後悔しない転職への第一歩です。

